診療一口メモ
加齢による難聴と認知症について
難聴の中でも、50 歳ごろから、年をとるにつれて、ゆるやかに高い音から聞こえにくくなっていくものを加齢性難聴といいます。60 歳代から軽度の難聴を自覚される方が増加し、70 歳代になると、難聴の進行を自覚され、生活に不便を感じる方も増えてきます。
最近の研究では、中等度以上の難聴高齢者では認知症を発症する可能性が高いことがわかってきました。高齢者の難聴が進めば、生活する上での危険度が増すことや、家族や友人とのコミュニケーションがとりづらくなり、社会的に孤立し、うつを発症することもあるといわれています。
高齢者の難聴の進行に最初に気づかれるのは、ご家族の方であることが、ほとんどです。高齢者の中にはなかなか医療機関を受診する機会がない方もおられますが、中耳炎や耳垢栓塞などの病気が見つかり、それを治療することで、聴力が改善する方もおられますし、治療の難しい加齢性難聴でも、ご本人の聴力に適切に適合された補聴器を使用するなど適切なケアをしていけば、認知症のリスクが低くなる可能性が示されています。
ご高齢のご家族の方で聞こえに困っておられる方がおられましたらぜひ、医療機関でのご相談をお勧めいたします。
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岡山市医師会“診療一口メモ”係